実家でお宝が出るのを妄想してみる

私の生まれた家は、とある田舎にある築100年はくだらない古い家である。
昔は、そんなオンボロの自分の家がコンプレックスだった。
皆の家は近代的な新しい家なのに、自分の家はとてもみすぼらしく見えてくる。
だから、ほとんど友達を家に呼んだこともない。
それからも、古くて安いアパート暮らしをすることが多かったのだが、人生とは面白い物で、結婚して引越しするのと同時に新築の家に住むことになった。
もちろん、ローンを返済して行かなければならないのだが、誰も触れていない真新しい香りのする家でスタートした新婚生活は、やはり特別なものであった。
しかし、人間の心理とは不思議なものである。
あれほど嫌だった古い実家が、今はそれほど恥ずかしくはないのだ。
それは、今住んでいる家が新しいから自信があるのか。
それとも、信頼できる関係にある家族になら、何を見せても怖くないからなのか。
むしろ、タイムスリップしたような気分にさせてくれる実家のあの古ぼけた雰囲気が、たまらないのである。
そして思うのである。
何代も前のご先祖様が残したお宝が、どこからか出てこないかななんて。
それが大判小判だったらどうしようなどと、とっくによその家に嫁いだ私は夢を膨らませる。
しかし、そんなことはありえない(笑)
隙間だらけの実家で、そんなものがあったら、とっくに気が付いていたはずだ。
しかしながら、そんな妄想ができる穏やかな時間。
それがあるからこそ、また帰りたいなと思うのである。
良い思い出が無い場所であるのだが、何かとっても大切なものが待っている場所でもある。

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